就職活動では「企業がどのようなビジネスモデルで収益を得ているのか」を確認することが大切です。
客先常駐(SES)、受託開発、自社開発。
これらの違いによって、働き方は大きく異なります。
今回はIT業界で最も多いとされる、客先常駐企業の見分け方についてご紹介しようと思います。
そもそも客先常駐(SES)ってなんだ?
客先常駐とは、自分が所属する会社ではなく、別の企業に常駐して働く形態のことを指します。
またの名をSES(システム・エンジニアリング・サービス)といい、自社のエンジニアを他社に貸し出すことで、対価を受け取るサービスです。
他社へ常駐する働き方は「派遣」となんら変わりません。
厳密には契約形式が異なるのですが、その実態は同じようなものだと考えてもらっていいと思います。
ちなみに、客先常駐の契約方法には以下のようなものがあります。
- 準委任契約(SES)
- 派遣契約
- 請負契約
客先常駐の見分け方
客先常駐は、自社ではなく、他社に派遣されて働く労働形態となります。
この実態を知っていれば、ホームページや面接の段階で大方見分けることができるでしょう。
勤務地が「自社または顧客先」
自社開発企業であれば、開発拠点は自社になります。当然、本社や全国拠点の所在地が勤務地になっているはずです。
しかし、客先常駐ではプロジェクトごとに働く企業が異なります。
結果、配属が決まるまでは働く場所がわからないため、勤務地の詳細を記載できません。
関東圏であれば、
- 東京23区内
- 東京都内
- 首都圏
その他の地域であれば、
- プロジェクトにより異なる
- 大阪、京都
といったように、いずれも大雑把な記載になっています。
勤務時間にただし書きがある
通常、勤務時間は企業によって決まっています。
フレックス制度を導入する企業も増えてきましたが、客先常駐企業の記載方法はそれとは異なっています。
たとえば、
- 勤務時間はプロジェクトによって異なります
- 勤務時間は客先に準じる
と記載されていれば十中八九、客先常駐を行っている企業だと考えていいでしょう。
お知らせ一覧が定型的
企業ページのトップにある”お知らせ一覧”。この欄には「新製品の情報」や「取り組んでいる事業」などが記載されていることが多いです。
しかし客先常駐企業の場合、「年末年始の営業日」や「長期休暇の情報」ばかりが羅列されています。
SES企業は自社製品を持たないため、製品情報の更新が出来ず、事業はエンジニアを派遣しているだけなので、新規の取り組みを記載することもできません。
帰社日や定期的なイベントをアピールしている
帰社日をアピールしている企業は、客先常駐を行っている可能性が高いです。
客先常駐企業の社員は、基本的には他社で働いており、自社へ帰ってくる機会がほとんどありません。
これは客先常駐で離職者が多い、大きな要因にもなっています。
http://korekarafreedom.com/attribution
客先常駐では、社員は社外で働いているため、帰属意識が低下します。
「自分はどこの会社の社員なのか」、「自社は何のために存在しているのか」
そうした疑問が生まれ、自社への嫌悪感が増していく方も多いです。
そうした状況を少しでも緩和するために、企業は「帰社日」を設けているのです。
帰社日には、交流会(飲み会)や勉強会などが開催されることが多いです。会社によっては、休日に帰社日を設けて、BBQ大会が開催されているような所もあります。
ちなみに私の勤めていた会社に帰社日はありませんでしたが、上記のように社員同士の交流が少なく、次第に帰属意識を持てなくなってしまいました。
面接の回数が1回、もしくは簡単に入社できる
本来エンジニア職は、専門的知識が必要な職種です。
そのため入社時には、「学校で専門的な知識を学んだか」、「実践的なスキルを身につけているか」といった点が慎重に審査されます。
しかし、客先常駐では「やる気」や「根性」といった精神面が重視される傾向にあります。
求人情報に
- 人材よりも人財
- 入社時にスキルは必要ありません
- 社員を大切にしています
といった記載があれば、注意が必要でしょう。
客先常駐企業は「高スキル〜スキル不要な仕事」まで、様々な案件を抱えています。
- エクセルにひたすらコピペするような仕事
- リモコンの動きを確かめる仕事
- 電話のオペレーター業務
といったスキル不要な業務に派遣すればいいため、スキルがなくても簡単に入社できてしまうです。
「面接が一度しかない」、「即日で内定」というアピールは、「入社するのは誰でも構わない」、「くる者拒まず」といった裏返しに他なりません。
そのような企業が社員を大切にしてくれるでしょうか?
面接時、担当者へ確認する
求人情報だけではわからない場合、直接担当者に聞いてみることをオススメします。
自社開発と客先常駐、両方おこなっている企業もあるため、配属先やキャリアプランを確認しておけば、入社後のギャップを防げるはずです。
- 社員の方はどこで就業されているのですか?
- 客先常駐と自社開発の割合比はどのくらいですか?
- エンジニアの自社勤務割合は? 自社勤務は事務や経理の方だけですか?
- 勤務地はどのくらいの頻度で変わりますか?
面接では、「面接官と求職者は対等の立場である」と認識して望むことをオススメします。
企業にとっては、入社後に「想像と違った」、「言っていた内容と違う、辞めよう」と思われるのは最も避けたいことです。
なので多少失礼だと感じても、どんどん質問すればいいし、マイナス面を隠そうとする企業にはそもそも入社しない方がいいです。客先常駐という言葉を使ってもまったく問題ないです。
私自身が転職活動をした際は、大半の企業担当者は真摯に答えてくれました。気になることはどんどん質問してみましょう。
最後に
客先常駐は特殊な働き方なのだと思います。
周囲には、帰属意識やスキルアップ、精神的な辛さを抱えている人が沢山いました。
入社前に知っていれば…..
思っていたのと違った、騙された
とならないために、事前に情報を集めて、後悔しない選択をしていきましょう。