客先常駐

経営者から見た客先常駐の世界!? | リスクの掛からない割のいい商売

エンジニアが敬遠したい、客先常駐という働き方。

実は経営者にとっては、リスクが少なく商売しやすいというメリットがあるんです。

今回は経営者視点から客先常駐の世界をご紹介したいと思います。

客先常駐のメリット(経営者視点)

利益の計算がしやすい

経営者にとって、利益計算ができることは非常に重要です。

経営ではキャッシュフローを意識する必要があり、仮に赤字となれば銀行からの借り入れが発生します。そして赤字が続けば企業は倒産です。

自社開発だと、どれだけコストを掛けたとしても、作った製品が売れなければ利益が出ません。

受託開発のように、「完成責任を負う」場合には、納期までにシステムを納品できなければお金は支払ってもらえません。

コストを掛けても資金を回収できないリスクが高いのです。

それに比べて客先常駐では、エンジニアを時間単位で貸し出すビジネスモデルとなります。

140-180時間の間、50万円でエンジニアを貸し出しますよ、といった仕組みになっているので、エンジニアを派遣さえできれば、安定した収益が見込めるのです。

客先常駐では一般的である”準委任契約”には、「製品の完成責任がない」

そのため、技術力のないエンジニアであろうと、派遣してしまえば利益となるのです

採用と社員教育にコストが掛からない

客先常駐では、エンジニアのスキルがなくても、派遣さえできれば利益になります。

本来エンジニア職の採用では、スキルの有無を慎重に吟味する必要があるのだけれど、客先常駐では大したスキルがなくても仕事ができます。

  • エクセルにコピペし続ける仕事
  • 何百台ものPCに同じソフトをインストールする仕事
  • リモコンが正しく動くか、ひたすら確認する仕事

こうした専門知識やスキルが不要な仕事に派遣すればよいので、エンジニアの採用ハードルは低くなるのです。

また客先常駐エンジニアは、客先の仕事をこなすことでスキルを蓄積していきます。派遣される業務内容によって、エンジニアのキャリアが決定されるのです。

そのため、わざわざ自社で教育制度を考える必要がなく、指導も不要。教育コストが掛からないというメリットがあります。

派遣先企業が多いほど、簡単にエンジニアを大量採用できます。エンジニアのレベルに合わせた派遣先をあてがうことができるからです。

これは逆に考えると、大量採用している企業はエンジニアにとって、スキルの身につかない企業である可能性が高いです。

大手だから、沢山の人を募集しているから、といった理由でいい会社と決めるのは待って欲しです。そのような考え方には注意が必要です。

固定費が削減できる

通常は社員が多くなるほど、備品を増やしたり、オフィスを広くしたりと固定費が増えるはずです。

しかし、客先常駐企業ではいくら社員を雇ったところで、彼らが自社で働くことはほとんどありません。

大半が社外の派遣先で働くため、広いオフィスは必要ないのです。

会社の規模に合わせてオフィスを移転したり、消耗品などの備品が減らないのは経営者としては嬉しいなのです。

客先常駐のデメリット(経営者視点)

契約期間中に辞められると困る

客先常駐の契約は、通常1-3ヶ月ごとに更新されます。

これはつまり、「この期間はお客様にエンジニアを貸し出す」契約がなされたことを意味します。

もしもこの期間中にエンジニアに辞められると、お客様からお叱りを受けたり、関係が悪化するので経営者は阻止しようとします。

特に立場が低い下請け企業ほど、今後の取引を考えた時に”契約解除”とは言いずらい環境にあります。契約を解除したことで、今後の取引を中止されるかもしれないし、取引額を一方的に下げられるかもしれません。

一つの企業に依存している企業にとって、これほど恐ろしいことはありません。

労働者側からすると、会社間の契約など気にする必要はありません。

私たちには退職の自由が認められており、退職届けを出してから14日後には退職できる権利があるのですから。

社員の勤怠が気になる

派遣している社員が安定して勤務してくれるかは重要です。

客先常駐で一般的な”準委任契約”では、契約時間の下限と上限が決まっているため、社員が休みすぎると得られる金額は減ってしまいます。

仮に中抜きしている企業を含めて取引をしている場合、「社員が休みすぎている」というクレームが入ることもあるので、社員の勤怠管理には気を遣わなければならないのです。

ベテランエンジニアの雇用

客先常駐では、年齢が上がるにつれて派遣先が少なくなってきます。

SESでは35-40歳までといったように、年齢が条件になっている案件もあり、年相応のスキルがないエンジニアは常駐先がなくなってきます。

客先常駐では、派遣しなければ金銭が得られないため、彼らが自社に居続けた分だけ赤字を垂れ流すことになるのです。

利益にならない社員を継続して雇用し続けるのは、大きなデメリットです。

社員の入れ替わりが激しい

客先常駐というビジネスモデルは、自社への帰属意識が育ちにくいです。

出社するのは顧客先なので、社員が会社の一員だという意識を持つことができないからです。

帰社日を設けても、会社にできることはお酒を飲んだり、ご飯を食べたりするくらいで、社員同士の交流が活発にはなりません。

常駐先では立場の違いから、エンジニアは疎外感や孤独感を感じやすい環境で働いています。常に社員の様子を見ることができないので、突然バックレて辞めてしまう社員もいます。

私がいた現場でも、急に休みだし、まったく出社してこなくなった社員がいました。

最後に

今回はエンジニア目線ではなく、経営者目線から客先常駐という働き方について考えてみました。

経営者にとって、客先常駐はリスクが少なく、コストが掛からないというメリットがあります。

一方で、やはりエンジニアにとっては働きづらく、人が定着しないという問題を抱えていることがわかります。

労働者であっても、経営者目線で物事を考えてみると、何か新しい発見があるかもしれませんね。