客先常駐

客先常駐(SES)エンジニアの給与はなぜ低いのか?収入の上げ方を解説

この記事で解決できるお悩み

  • エンジニアって高収入なの?

  • なぜSESの給料は安いの?

  • エンジニアが年収アップするには?

エンジニアと聞くと、「多忙・高収入・頭がいい」といったイメージを持たれる方が多いです。

たしかに高スキルのエンジニアは高収入ですが、客先常駐(SES)として働いている場合、収入は低く、将来的にも増えていくことは期待できません。

この記事では「エンジニアの給与相場」「SESの給料が安い理由・年収アップの方法」をお伝えします。

読み終えて頂くと、SESエンジニアの置かれた状況が把握できるのに加え、給料の上げ方を理解できます。

エンジニアの年収・給料は低いのか?

以下に「業種別の平均給与」、「スキル別の給与」について詳しく見ていきます。

業種別の平均給与

日本国内における業種別の平均収入データを見てみると、IT業界の給与水準は比較的高いです。

以下の表は転職情報サイトのdodaが公開している情報で、dodaのエージェントサービスに登録した人の「平均年収データ」を元に集計した給与額になります。


参照:平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)【2021年度版】

このデータによると「技術系(IT/通信)」の平均年収は438万円(男性:456万円 女性:385万円)となっており、年収が高いとされる商社・メーカーに次いで4番目に高い給与となっています。

スキル別の平均給与

また同じエンジニアの中でも、スキルの低い新人レベルの人材とリーダーとして活躍できる人材とでは、同じ職種であっても、給与は大きく異なります。。


参照:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(経済産業省)2017年度

新人・初級レベルの平均年収は「437.8万円」と最も少なく、部下を率いるリーダーレベルになると平均年収は「726万円」にまで上がります。その差は300万円近くになります。

SESの年収・給料が安い&上がらない理由

上述してきたように、エンジニアの給与は他の業種に比較して低くはありません。

それにも関わらず、「エンジニア 給与」で検索すると「給料が安い・低い」といったネガティブな結果が出てきます。

なぜエンジニアの給料は安いと言われているのでしょうか?

その理由と給与が上がらない仕組みについて解説していきます。

原因①:多重下請け構造

日本のIT企業は多重下請け構造になることが多く、二次請け以降の立ち位置ともなると、上で示した平均年収を下回る可能性が高くなります。

特にSES企業は多重下請け構造に巻き込まれることが多く、年収の低いエンジニアが多いです。

ちなみに客先常駐をしている企業の割合は、全体の9割を超えているという国のデータもあります。
参照:厚生労働省のハンドブック

多重下請け構造の例

発注元企業:100万円で元請け企業に仕事を依頼

元請け企業:80万円で一次請け企業に仕事を依頼
      →20万円の利益

一次請け企業:60万円で二次請け企業に仕事を依頼
      →20万円の利益

二次請け企業:40万円で三次請け企業に仕事を依頼
      →20万円の利益

このように下請けに流されるごとに、上位企業は中間マージンを中抜きします。

その結果、下流にいくほど発注単価が安くなり、企業に所属しているエンジニアの年収が低くなってしまうのです。

原因②:エンジニアのスキル不足

エンジニアのスキルが低いことも、年収の低い理由です。

会社からの評価が低いと、単価の高いSES案件を紹介してもらうことができず、未経験者でもできる「テスト業務」や「運用・保守」ばかりをさせられてしまう可能性があります。

SES契約は、「エンジニアを180時間、40万円の単価」で貸し出しますよ、いったものになります。

そのためエンジニアは、給与を上げたい場合には、時間あたりの単価を増やすしか方法がありません。

※SES契約については、「客先常駐(SES)とは? グレーだと言われる理由と3つの契約形態について解説します」で詳しく解説しています。

しかし誰でもできる業務は単価が安いため、経験年数が増えたとしても、年収が上がらないのです。

エンジニアのスキルが高い・低いという問題ではなく、どの階層に位置するかで「企業の利益」や「社員の給料」が変動することになります。

原因③:相場が決まっている

スキルや経験によって違いはありますが、株式会社ワンズマインドが算出したデータによると下請けは「40万〜80万円」、平均は「80万〜120万円」の発注単価になります。


参照:株式会社ワンズマインド SES料金相場

相場が決まっているため、給料を上げるためにはより単価の高い案件に移るしかありません。

また企業は利益を確保する必要があるため、エンジニアのスキルがどれほど素晴らしくても、SES企業で働いている以上、相場以上の給料を受け取ることは不可能です。

原因④:所属会社からの搾取される

企業によっては利益が出ていても、エンジニアに還元しない企業があります。

株式会社HALのように還元率80%を謳っている企業がある一方で、エンジニアからは出来るだけ搾取しようという考えの企業も存在します。

私が勤めていた企業では、以下のような待遇でした。

  • 初任給:15万円程度
  • 通勤手当:500円(1日勤務につき)
  • 残業手当:ほぼ出ない
  • 面談交通費:支給なし

このような企業でどれだけ頑張って働いても、企業が儲かるだけで、エンジニアは豊かになれません。

SESエンジニアが給料を上げる方法

では客先常駐エンジニアが給料を上げるためには、どうすればいいのでしょう?

私の経験上、取れる選択肢は2つしかありません。

マネジメント側になる

マネジメントをする立場になると、給与アップが期待できます。

経済産業省が実施した「IT関連産業の給与などに関する実態調査結果(2017年度)」によると管理する立場であるプロジェクトマネージャの平均給与は「891.5万円」となっていました。

参照:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果

技術のスペシャリストとして活躍する道もありますが、給与アップの観点から考えると、プロジェクトマネージャーを目指すのも良いかと思います。

スキルを習得し、自社開発 or 上流階層企業へ転職する

私自身は、客先常駐から受託開発SIerへ転職した経験があり、転職活動をする中で見えてきたことがあります。

それは自社開発や上層企業の給料が圧倒的に高いということです。

求人情報を見ていても、福利厚生や給与が高く、安定している印象を受けました。

例えSES企業であっても、給与を上げたいという一点に注力するのであれば、大手SESなどの上流企業への転職をおすすめします。

ちなみにリクルートの求人情報を見てみると、以下のような高額求人がゴロゴロあります。


参照:RECRUIT AGENT 求人

エンジニアの転職

私が実際に転職で利用したのは、以下の3つです。

  • マイナビエージェント
  • リクナビエージェント
  • レバテックキャリア

それぞれの特徴を詳しく解説します。

転職エージェント

それぞれの印象としては、
マイナビエージェント
→サポート体制が整っており、履歴書や経歴書などの相談にも乗ってくれました。非公開求人が多く、特に20代〜30代の若手に定評があります。
ただ組み込み業界に関しては、他エージェントに比べて求人数が少なかったです。Web系志望の方の利用はおすすめです。


・リクナビエージェント
→求人数が圧倒的に多かったです。私はほぼリクナビ求人に応募して活動していました。
エージェントの方も丁寧で不安なことがあれば、相談に乗ってくれます。定期的に情報共有できる機会も提案してくれたため、安心して活動に専念することができました。

・レバテックキャリア
→求人数は少ないのですが、エージェントと企業のパイプが強い印象を受けました。過去の面接者が落ちた理由を教えてくれたり、給与交渉も積極的にしてくれました。
私自身はレバテックキャリアでの転職を経験しています。

フリーランスエンジニア

フリーランス=個人事業主になることです。

企業に雇われている間は、例え自身の単価が100万円であっても、そこから会社の家賃、光熱費、消耗品費、事務員の給料etc…といった金額が差し引かれ、手元に入ってくる給料は少ないです。

けれどもフリーランスであれば、100万円で仕事を取れた場合、すべてが自分のものになります。

私の友人にもフリーランスがいて、実際に会社員の頃より大幅に得られる金銭が増えています。

スキルに関しては実務経験が数年あれば、SESエンジニアからでもフリーランスになることは十分可能でしょう。

>>フリーランスの案件を紹介する

スキルアップの方法

例え未経験だとしても、
コードキャンプ
テックキャンプ
PAIZA

といった学習サービスを利用すれば、一通りの基礎を学ぶことができます。

IT業界は経験よりもスキルが重視される世界なので、経験がなくても、スキルさえ身につければフリーランスとして活躍できるでしょう。

最後に

客先常駐エンジニアの多くは、多重下請け構造の中、上がらない給料に苦しんでいます。

会社での出世や会社自体を変革する、という選択肢もありますが、それよりも転職やフリーランスになる方が現状を変えられる可能性は高いと思います。

僕自身は受託開発企業に転職がすることができ、結果として大幅に収入がアップしました。

商売の基本は地域差を利用して、利益を得ることにありますが、これをエンジニアに置き換えると、

商品(=エンジニア)が同じでも、売る場所(=会社を変える)が変わると、給料が変わることを示しています。

もし現状に不満があるのであれば、市場に自身の価値を晒すことで、見えてくるものがあるかもしれません。